情報社会を制する顧客体験分析
情報技術の進化に伴い、顧客の購買動向は変化しています。良質な顧客動向を目指し、製品・サービスを改善していくことで満足度を向上させることが出来ます。顧客動向改善のために必要な施策が、データ分析です。
消費者の購買動向とインターネット利用
参考:NTTコム リサーチ「購買行動におけるクチコミの影響」
新型コロナ感染拡大による外出自粛や在宅勤務の増加により、インターネット利用者割合が増加傾向となっています。総務省の調査によれば、緊急事態宣言解除後の6月と宣言前の2月を比較したところ、平日昼間は2~3割程度、休日昼間は1~2割程度インターネット通信量が増加したという結果が出ています。情報技術の進歩も相まって、今後はコロナを抜きにしても通信量は継続して増加することが予測されています。
こうしたインターネット利用割合の増加に伴い、消費者の購買動向にも変化が出ています。NTTコムの「購買行動におけるクチコミの影響」に関する調査によれば、商品・サービスを購入する場合、事前に情報収集する人は全体の82.6%にものぼるという結果が出ています。
上記の通りインターネットが普及したことで、消費者は企業が発信する情報へのアクセスが容易となり、企業の公式HPを見るまでもなく商品・サービスについて知ることが可能となりました。このような背景から、CX(顧客体験)が各企業から注目されています。
CX(顧客体験)とは
CX は「Customer Experience」の略であり、顧客が体験する価値を意味しています。
具体的には、商品やサービスを実際に利用することで得られる満足感や喜びなどです。たとえば、レストランで食事のサービスを受ける際には、美味しい食べ物を口にすることができます。加えて、外装・内装・BGMによって「空間の心地よさ」という CX を得られるため、満足度が高まります。
CX(顧客体験)が重要な理由
「コト消費」の需要
国内消費の成熟化が進み、今や商品・サービスは消費しきれないほど市場にあふれています。欲しいものが容易に手に入る現代では、モノの価値から精神的な豊かさ、所謂コト消費が求められるようになりました。製品の機能だけではなく、消費者の共感・信頼が得られるような体験価値が重要視されています。
消費者の情報発信力
情報通信技術の発展や、パソコン・スマートフォン等の進化により、企業と消費者間で情報活用スキルに格差がなくなりつつあります。特にSNSや個人ブログの普及により、消費者からの情報発信力は大きくなっています。先述の通り、口コミやレビューは商品・サービスの検討において注目されやすく、企業は消費者との信頼関係構築が重要となっています。
適切なCX提供のための3つのポイント
① 現状の顧客体験の把握
顧客体験を向上させるためには、現状の顧客体験を把握することが重要です。顧客体験は、以下の3つの段階に分けることができます。
- 情報収集段階(WebサイトやSNS、雑誌・チラシ、口コミなど)
- 購入段階(店舗来店、接客、カート入れ、会計・決済など)
- 利用段階(商品の利用、故障時の対応、次回利用の案内など)
各段階について企業と顧客との接点を洗い出し、時系列に並べましょう。その際に、顧客の立場で項目を抽出することが重要です。時系列で並べることで前後関係が明確になり、課題を発見しやすくなります。
② 良質な顧客体験のための改善点
顧客体験を把握した後は、各接点において課題を明確にします。以下のポイントを考慮しながら課題を見つけるとよいでしょう。
- その接点において、顧客の「声なき声」に目を配れているか
- その接点の顧客それぞれの事情に沿った課題であるか
- その接点では顧客の期待を上回る価値を与えているか
顧客の要望や不満を解決するための活動は満足度を高めるにすぎず、顧客体験の向上には繋がるとは限りません。製品・サービスに対して顧客が価値を感じ、他人に勧めるレベルまで顧客体験を高めてもらえるよう、課題を設定することが重要です。
この観点では、購入・サービス利用をキャンセルした人の情報も参考となります。キャンセルした人は何らかの不満が理由となりますから、その人の顧客体験を分析することにより、課題を見つけ出すことが可能です。
③ 部門を問わない取組
顧客体験は、その製品やサービスに関するすべてが対象となります。このため、どこかの段階で顧客の期待を裏切るようなことがあると、顧客体験の評価は大きく下がることになります。
例えば製品そのものは使いやすくても、配送段階で遅延が発生したり、良い口コミが目立たなかったり、問合せ・サポート窓口の対応が悪い場合は、今後その企業の製品は購入しなくなるかもしれません。顧客体験の向上活動は、一部の部門で行っても効果が上がりにくいため、全社的に取り組むことが必須です。特に部門をまたがる対応が必要なケースにおいて顧客体験が低下する場合が多いため、重点的な対策が必要となります。
CX向上に役立つツールご紹介
ガートナーが発表した「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」2021年版では、顧客体験を含むTX(トータルエクスペリエンス)が挙げられています。CXのほか、従業員エクスペリエンス、ユーザー・エクスペリエンスを結びつけるTXを提供する組織は、競合他社を上回る主要な満足度評価指標を達成すると予測されています。競合より一足早く、CX向上に取り組み企業価値をも向上させましょう。
CX向上に取り組む上で、先述のポイントの中でも「現状の顧客体験の把握」が基盤となります。現状把握のためには、自社状況を把握できるデータが必要です。今まで企業で使っているシステム(SFA、CRM、基幹・業務システムやPOSレジ等)の中には、各種帳票や販売データが蓄積されているため、その蓄積データを加工・分析することで、商品の企画やマーケティング検討に利用できます。
本記事で紹介するDataNatureは基幹システムと連携することで、データ集計・活用・分析、定型帳票のPDFやEXCEL出力まで、企業データの「見える化」を支援します。常にエンドユーザー視点で、高い費用対効果を得るBIツールとして、環境変化に素早く対応する機能性と、分析作業の操作性を提供します。