サブスク型ビジネス流行の背景とメリット
特にITの分野において、サブスク型ビジネスの急成長は目覚ましいものがあります。本稿では、流行の背景、成功例、また、サブスク型ビジネスのメリットを3つの要点に絞って解説しました。事業者様のマーケティングや事業改革のヒントになれば幸いです。
当世流行、サブスクリプションとは?
2019年の流行語大賞に「サブスク」がノミネートされて以後、サブスクリプション方式のサービスは人びとの生活に完全に定着しました。語源となる英語のsubscriptionは、もともと雑誌の予約購読やクラブの会費などを意味していましたが、いまでは一歩進んで、月額や年額を支払うことで有効期限内において無制限で受けられる定額サービス全般を指す用語として認知されるようになっています。
AmazonプライムやNetflixなどの動画配信サービス、オンライン対戦できるNintendo Switch Onlineなどのサブスク型サービスは、新型コロナ禍による巣ごもり需要と結びついて市場を拡大。これらの例からもわかるとおり、サブスク方式はオンラインを通した無形サービスとの相性が抜群で、コンテンツビジネスのみならず、いまやITソフトウェア全般と不可分になっています。以前の記事でご紹介したMicrosoft 365も、その代表例といえます(参考記事:2022年、新しい働き方を始めませんか? Microsoft 365ならここが違う!)。
先駆けとなったAdobe社の事例
かつてPCのソフトウェアは、CD-ROMなどの記録媒体の形でパッケージ販売されるプロダクト売り切り型が主流でした。ユーザーはCD-ROMからソフトウェアをダウンロードすることで、PCが故障しないかぎり永続的に使用できる――こうした当時のビジネスの常識に、疑問符を投げかけた企業があります。IllustratorやPhotoshopなど、クリエイター向け定番ソフトウェアを提供する業界の草分けにして最大手、Adobe社です。
2012年当時、年間売上40億ドルを超える大成功を収め、他の追随を許さない盤石の地位を確立していたにもかかわらず、Adobe社は、ソフトウェアの提供方式について、従来のパッケージ販売からオンラインを通してソフトウェアを提供、定額で有効期間内使用できるサブスクリプション方式への大転換を打ち出しました。業界へのインパクトは、記憶に新しいところです。
この大胆な改革に至ったのは、理由のない話ではありません。まず、スマートフォンの普及に伴いIT分野の技術革新が速まったことで、旧来のプロダクト売り切り型ビジネスがそのサイクルについてこれなくなったことがひとつ。オンラインを通じて製品を提供できる環境が整ったことがひとつ。そして、サブスク方式によるイノベーションの加速が、企業の成長速度を現在よりも高めるであろうという予見を信じてのことでした。
賛否はありましたが、結果としてAdobe社の売上は2021年の決算で157億9,000万ドルという劇的な成長を果たしました。現在、Adobe社の提供するサブスク型クラウドサービスAdobe Creative Cloudは、サブスクの先駆けにして最高の成功例として知られています。
サブスク型ビジネス3大メリット
初期費用が安い
例えばAdobe社のPhotoshopは、プロダクト売り切り型時代では導入に10万円ほどもかかりました。個人用途としてお手頃とはいえない高額ソフトです。※現在、同製品のパッケージ版は販売/サポートともに終了
ですが、サブスクリプション型では、月に数千円を支払うだけで、こうしたプロ向けの高性能ソフトの使用が可能になりました。初期費用が大幅に抑えられたことで、事業者のみならず個人まで、ユーザーの裾野が広がったのです。ユーザーにとっては買い求めやすくなり、企業にとってはより多くのユーザーを囲い込める、双方にとってメリットが大きいビジネスモデルであることがおわかりいただけるでしょう。
また、プロダクト売り切り型は製品が売れたタイミングでユーザーとの関係性と収益が途絶えるため、売上を安定させるのが難しい面がありました。ですが、サブスク型であれば持続的な収益基盤を築くことができます。
常に最新バージョンを使用/提供できる
サブスク方式であれば、ユーザーは定額を支払っているかぎり、最新版へのアップデートについて追加の費用がかかりません。
企業側にとっても、最新の技術を投入した製品をタイムラグなしで提供できるため、顧客満足度をキープできます。
顧客リストや利用統計データを基にサービス改善を図れる
企業側にとってはなによりも、販売店や代理店を介さず直接顧客と関係を築けるため、精度の高い顧客の属性データ(年齢・居住地・性別・職業等)と行動データ(購買履歴・使用頻度)を取得できます。
言うまでもなく、現代においてこうしたビッグデータを分析・活用することは、企業活動の生命線。Adobe社の躍進も、こうした情報を活かした精緻なマーケティングの賜物といえるでしょう。
(参考:BI/データ分析)
まとめ
初期費用が安い
例えばAdobe社のPhotoshopは、プロダクト売り切り型時代では導入に10万円ほどもかかりました。個人用途としてお手頃とはいえない高額ソフトです。※現在、同製品のパッケージ版は販売/サポートともに終了
ですが、サブスクリプション型では、月に数千円を支払うだけで、こうしたプロ向けの高性能ソフトの使用が可能になりました。初期費用が大幅に抑えられたことで、事業者のみならず個人まで、ユーザーの裾野が広がったのです。ユーザーにとっては買い求めやすくなり、企業にとってはより多くのユーザーを囲い込める、双方にとってメリットが大きいビジネスモデルであることがおわかりいただけるでしょう。
また、プロダクト売り切り型は製品が売れたタイミングでユーザーとの関係性と収益が途絶えるため、売上を安定させるのが難しい面がありました。ですが、サブスク型であれば持続的な収益基盤を築くことができます。
常に最新バージョンを使用/提供できる
サブスク方式であれば、ユーザーは定額を支払っているかぎり、最新版へのアップデートについて追加の費用がかかりません。
企業側にとっても、最新の技術を投入した製品をタイムラグなしで提供できるため、顧客満足度をキープできます。
顧客リストや利用統計データを基にサービス改善を図れる
企業側にとってはなによりも、販売店や代理店を介さず直接顧客と関係を築けるため、精度の高い顧客の属性データ(年齢・居住地・性別・職業等)と行動データ(購買履歴・使用頻度)を取得できます。
言うまでもなく、現代においてこうしたビッグデータを分析・活用することは、企業活動の生命線。Adobe社の躍進も、こうした情報を活かした精緻なマーケティングの賜物といえるでしょう。
(参考:BI/データ分析)
本稿では、サブスク型ビジネスのメリットについて、最大の成功例、Adobe社を例にとり解説しました。ただ、サブスク型ビジネスはITやコンテンツビジネスだけでなく、フィットネスジムやエステ、家電や自動車、服に至るまで、あらゆる領域に拡がっています。モノを買うのではなくコトを買う――現代の消費トレンドの変化を象徴しているといえるのではないでしょうか。
また、デジタルマーケティングが隆盛する昨今、BIデータに基づく事業計画の重要性は、今後も増すばかりといえます。データ分析にまつわる無料のお役立ち資料も別にご用意しておりますので、そちらもぜひご活用ください。