【速報】事業再構築補助金2023 ひと足早く変更点を総まとめ 

公開日:2023.1.18
更新日:2023.9.20

最大補助額5億円! 事業再構築補助金に注目集まる

ポストコロナ時代に対応する新しい経済社会を確立するために、中小企業庁が実施する事業再構築補助金
令和5(2023)年度は新型コロナ禍による売上減少のほか、昨今の物価高騰で業況を悪化させた中小/中堅企業も支援対象になっています。
さまざまな逆風のなかで新しい挑戦を図る事業者様にとっては嬉しい制度ですが、支給条件はやや複雑。
審査をパスするには、傾向と対策を押さえることも重要です。
本稿では、それらについてわかりやすくまとめ、補助金を活用して大幅な業務効率化に成功した事例について資料をご用意しました。
無料でダウンロードいただけますので、ぜひ併せてご活用ください!

事業再構築補助金2023
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事業再構築補助金とは

より多くの事業者に向けて

2023年4月現在、第10回まで実施されている事業再構築補助金は、新型コロナ禍によって売上を減少させた中小企業や中堅企業を支援することを目的として発足した制度です。中小/中堅企業がポストコロナ時代に対応した事業再構築を図ることで、経済社会全体の底上げに繋がると期待されています。

令和5年度も、続行が決定。しかも、今回より時勢を鑑みて支援対象が拡大、より多くの事業者に門戸が開かれました。補助額も高額なため、ぜひ活用を検討したい、お得な制度です。

気になる採択率は?

第1回から8回までの実績で、147,109者の応募のうち66,760者が採択されており、採択率は45.4%

申請後、審査委員による審査があり、当然ながら、すべての申請が通るわけではありません。

ただ、単に申請条件をみたしていなかったために落選した例も多く、実際の採択率はさらに高いと考えていいでしょう。裏を返せば、申請条件の正確な把握、傾向と対策のチェックは必須です。

令和5年度第10回の公募要領も発表されました。令和4年度からの変更点と審査通過のポイント、公募スケジュールまでを確認してみましょう。


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令和5年度の改正ポイント

制度の目的/支援対象が拡大
予算額がやや減少
枠の新設・整理統合など時勢に合わせた適正化
申請条件がやや緩和

令和5年度は、新型コロナ禍による経営悪化のほか、新たに物価高騰により業況を悪化させた事業者の支援や中小企業の賃上げも目的に含まれ、2022年にニュースを賑わせた原油や紙の値上がり最低賃金の引き上げなど、時勢を反映した内容にアップデートされています(詳細は赤字の各参考記事参照)。

また、感染症等の危機に強い事業への支援も明文化されており、採択の大きなポイントになることは間違いありません。これについては、のちほど詳述します。

令和5年度の予算額は5,800億円で、前年予算額6,123億円からやや縮小されているものの、補助額5億円と非常に高額なサプライチェーン強靱化枠のほか産業構造転換枠が新設。その他の枠も名称変更を含めた改編、整理・統合が図られています。

その他、グリーン成長枠のほかにも、通常枠の後継となる成長枠でも新型コロナ禍による売上減少要件が廃止されました。結果、より多くの企業が申請できるようになっています。

補助額は高額

社数が限定される枠もあるため、早めに申請したいところ。こちらの詳細は別表にまとめ、後述します。

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対象となる事業者

事業再構築補助金の対象となるのは、日本国内に本社を有する中小企業者等および中堅企業等です。

中小企業の定義は中小企業基本法に準拠します。下記一覧をご確認ください。

中小企業の範囲

小売業
サービス業
卸売業
製造業その他

※ゴム製品製造業は資本金3億円以下または従業員900人以下、旅館業は資本金5千万円以下または従業員200人以下、IT企業は資本金3億円以下または従業員300人以下が中小企業となります。

なお、中堅企業とは、中小企業に含まれない企業のうち資本金が10億円未満の企業のことを指します。

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必須申請要件

令和5年度の公募要領はまだ発表されていませんが、およそ以下のようになると予測されます。

売上減

新型コロナ禍による売上減少

本制度はもともと、新型コロナ禍によって業況を悪化させた事業者への支援を目的としています。

そのため、2022年1月以降の連続する6か月間のうち3か月の合計売上が2019~2021年の同3か月の合計売上と比較して10%以上減少していること

※売上減少要件を設けない枠もあり

事業再編への取り組み

事業再編への取り組み

事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・業種転換等を行うこと

事業計画の策定

補助事業終了後の成果

認定経営革新等支援機関と事業再構築にかかわる事業計画を策定すること。その際、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成を見込むこと

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事業再構築補助金の申請類型【令和5年度最新版】

第10回からの変更点

事業再構築補助金には、中小/中堅企業の状況に合わせて、いくつかの申請類型が設けられています。

最低賃金枠とグリーン成長枠は前回より継続。ただ、グリーン成長枠には研究開発等の要件を通常の2年から1年に短縮したエントリークラスが新設され、申請のハードルが大幅に下がりました。

その他、通常枠が成長枠に引き継がれ、グリーン成長枠とともに賃上げに対するインセンティブが追加。

緊急対策枠と回復・再生応援枠が物価高騰対策・回復再生応援枠に統合されたほか、まったくの新設枠がふたつ追加され、より多くの事業者に門戸が開かれています(※変更点赤字)。

要注目は新設枠のうちサプライチェーン強靭化枠。補助額は最大5億円ということで、嫌が応にも期待が高まります。

概要 補助額 補助率
最低賃金枠 最低賃金引上げの影響を受け、原資確保が困難な中小企業等に対する支援(前回より継続) 従業員数5人以下:100万~500万円
従業員数6~20人:100万~1,000万円
従業員数21人以上:100万~1,500万円
中小……3/4
中堅……2/3
グリーン
成長枠

グリーン分野で高い成長を目指す事業者を支援(前回より継続)

※売上減少要件なし、事業実施期間中に中小企業から中堅企業へ成長する事業者等に対する上乗せ枠(卒業促進枠・上限2倍)又は継続的な賃上げに取り組み従業員を増加させる事業者に対する上乗せ枠(大規模賃金引上促進枠・上限3,000万円増)に応募可

【エントリー】
中小・従業員数20人以下 :100万~4,000万年
   従業員数21人~50人:100万~6,000万円
   従業員数51人以上 :100万~8,000万円
中堅:100万~1億円

【スタンダード】
中小……100万~1億円
中堅……100万~1.5億円

中小……1/2
中堅……1/3

※補助事業期間内に事業場内最低賃金を年45円以上引上げ、給与支給総額+6%を達成した場合、補助率を中小2/3、中堅1/2に引上げ

成長枠

市場規模が10%以上拡大する業種・業態への大胆な転換を支援
(通常枠を引き継ぐ形で新設)

※売上減少要件なし、事業実施期間中に中小企業から中堅企業へ成長する事業者等に対する上乗せ枠(卒業促進枠・上限2倍)又は継続的な賃上げに取り組み従業員を増加させる事業者に対する上乗せ枠(大規模賃金引上促進枠・上限3,000万円増)に応募可


従業員数20人以下:100万~2,000万円
従業員数21~50人:100万~4,000万円
従業員数51~100人:100万~5,000万円
従業員数101人以上:100万~7,000万円

中小……1/2
中堅……1/3

※補助事業期間内に事業場内最低賃金を年45円以上引上げ、給与支給総額+6%を達成した場合、補助率を中小2/3、中堅1/2に引上げ

物価高騰対策・回復再生応援枠 引き続き業況が厳しい事業者のほか、原油価格・物価高騰等の影響を受ける事業者への支援(回復・再生応援枠と緊急対策枠を統合する形で新設)
従業員数5人以下:100万~1,000万円
従業員数6~20人:100万~1,500万円
従業員数21~50人:100万~2,000万円
従業員数51人~ :100万~3,000万円

中小……2/3(一部3/4)
中堅……1/2(一部2/3)
サプライチェーン強靭化枠 海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化・地域産業の活性化に資する事業者を支援(新設) 1,000万~5億円 中小……1/2
中堅……1/3
産業構造転換枠 国内市場の縮小等の産業構造の変化により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者を重点的に支援(新設)
従業員数20人以下  :100万~2,000万円
従業員数21~50人  :100万~4,000万円
従業員数51人~100人:100万~5,000万円
従業員数101人以上 :100万~7,000万円
※廃業を伴う場合2,000万円上乗せ
中小……2/3
中堅……1/2

補助対象経費

補助対象となる経費については、なんであれ認められるわけではありません。

代表的な例としては、建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費などが挙げられます。

例えば、中小企業が1,000万円の機械装置と500万年のシステムを導入して成長枠に応募した場合、補助率は1/2、補助額上限を下回っているため750万円の全額が支給されます。

たいへんお得なのがおわかりいただけるでしょう。

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事業再構築補助金のスケジュール

支給までの大まかな流れ

本補助金の支払いを受けるには、まず事業計画書を作成して申請・審査に通ったのち、いくつかの手続きを踏む必要があります。支給までの大まかな流れをフローチャートにまとめましたので、ご覧ください。

補助金の支給自体は後払いとなり、かつ申請から1年以上の期間を要します。そのため、事業資金については先に用意する必要がありますので、ご注意ください。

各回の申請締切日

第11回以降の公募スケジュールについては、公式の発表があり次第、お報せいたします。無料のメルマガにご登録いただくとスムーズです。第9回(2023年3月24日締切)までの情報については「審査通過のポイントは? 事業再構築補助金2022年最新情報」をご覧ください。

交付申請・
事業実績報告
第10回 公募開始 2023年3月30日(木)
締切日 2023年6月30日(金)18:00
採択発表 2023年8月下旬~9月上旬頃

※事業実施期間はいずれも交付決定日~12か月以内(ただし採択発表日から14か月後の日まで)

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採択事例に学ぶ審査通過のポイントは?

第7回での採択結果を俯瞰すると、新型コロナ禍の克服に主眼を置いた事業計画書が採択されやすいのはもちろん、環境問題への取組みなども目立ちました()。2023年度は感染症等の危機に強い事業への支援が明文化されたことを踏まえると、そうした傾向がより顕著になるのが間違いありません。

例えば、ECサイトを立ち上げてのオムニチャネル化、クラウドシステムの導入によるテレワークの効率化やBCPの強化、基幹システムや文書管理システム導入によるペーパーレス化を通した環境配慮型オフィスへの転換なども考えられるでしょう(詳細は赤字の各記事参照)。

表 第7回採択事業例

業種 事業計画の概要
飲食サービス業 新型コロナ禍における生活スタイルの変化で売上減少。
ネット販売システムによる販路拡大に取り組む
運輸業 新型コロナ禍によるタクシー需要の減少・燃料等の高騰により、事業継続を懸念。
クラウド型タクシー配車システムを導入し、コールセンターを開設
製造業 新型コロナ渦でのBCP強化の一環で、農林業機械メーカーが高品質・グローバルコスト対応の協力企業を求めている。
樹脂製品を対象にデジタル技術を用いた成形システムを構築、新分野展開を図る
建設業 新型コロナ禍で高まる省エネ・節電ニーズに応える「ZEH基準を満たす最新型HEMSを搭載した環境自動制御機能付き規格住宅」を販売
業績を回復させるとともにカーボンニュートラルに寄与
サービス業 AIを応用した会計監査支援システムを構築、効率的な会計監査支援サービスを提供。
リモート監査を実現して、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応
製造業 設備投資とデジタル化推進(RPA活用)により、「短納期かつ高レスポンス」を強化
「医療・ロボット・次世代自動車」分野への新分野展開を図る

本補助金は、採択にあたって明確な傾向と対策があり、事業計画書を作成するにしても戦略的にポイントを押さえなければ、審査通過は覚束ないのが現状です。そのためには、他社の事例を参考にするのが最も有効でしょう。

内田洋行ITソリューションズでは、本補助金を活用して基幹システムを一新・BIツールやセキュリティシステムを導入した事業者様の事例詳細について、PDF資料をご用意しました。無料でダウンロードいただけますので、ぜひ事業計画策定にご活用ください!

多くの事業者様が昨今の逆境をチャンスに変えられるよう、心より応援しています。

よくある質問

Q事業再構築補助金の審査で不採択になる例としてはどんなものがありますか?
A本補助金は応募に際して提出すべき書類が多いため、書類の不備で弾かれる例が毎年少なくないようです。事業再構築補助金HPの添付書類確認シートを活用すると漏れを防ぐことができます。また、補助の対象にならない経費を申請したため不採択になるケースもあります。例えば家賃や車両・船舶・航空機などは本補助金の主旨にそぐわないため、経費として認められません。
Qものづくり補助金など他の補助事業との併用は可能ですか?
A原則として、同一事業で複数の補助金を受けることはできません。ただ、内容が異なる別の事業であれば、同じ事業者が複数の補助金を受けることは可能です。
Q事業再構築補助金を返還しなければならないケースはありますか?
A本補助金を受けた事業者には一定の義務が課されており、事業化状況などを事務局に報告しなければなりません。報告が行われない場合、補助金の交付取消・返還を求められる可能性があります。また、他の用途への無断流用、虚偽報告などの不正が行われた場合も、当然ながら取消・返還の対象になります。

【参考】
・経済産業省「事業再構築補助金
・事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金

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