基幹システムのクラウド化とは?
近年、多くの企業において「基幹システムのクラウド化」が進んでおり、従来のオンプレミス型からの移行が注目されています。クラウド化には、効率的なデータ管理や柔軟なシステム運用が可能になるという大きなメリットがあります。多くの企業担当者は、経営資源を最大限に活用するために、クラウド型の基幹システム導入を検討しています。この流れの中で、クラウドへの移行を進めることは、競争力を維持し、さらなる成長を実現する手段として位置づけられています。
INDEX
1.基幹システムクラウド化の意義とは
2.クラウド型基幹システムの主要なメリット
3.クラウド化におけるリスクとデメリット
4.クラウド化における業務メリット
5.オンプレミスとクラウドの比較
6.クラウド移行の手順を知る
7.2025年を目前に、基幹系システムのクラウド移行が加速
基幹システムクラウド化の意義とは
基幹システムのクラウド化は、業務運営の根幹を支える重要な決断です。
経済環境が変化し続ける中、企業は迅速な対応が求められます。クラウド化により、リアルタイムなデータアクセスや共有が可能になり、業務の効率が向上します。
データの集中管理が実現することで、意思決定のスピードも速まります。このような利点は、基幹システムを持つ企業にとって、競争力を高める上で欠かせない要素と言えるでしょう。最終的には、効率的な業務運営が実現され、企業は持続的な成長を促進できるのです。
企業におけるクラウドサービスの利用状況
総務省が発行している「令和5年通信利用動向調査の結果」においては、クラウドコンピューティングサービス(以下「クラウドサービス」という。)を一部でも利用している企業の割合は、77.7%に上昇しています。
利用サービスの内容は、「ファイル保管・データ共有」の割合が68.8%と最も高く、次いで「社内情報共有・ポータル」(55.8%)、「電子メール」(55.1%)となっています。
クラウドサービスを利用する理由は、「場所、機器を選ばずに利用できるから」(49.5%)が最も高く、次いで「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」(43.9%)となっています。
88.4%の企業においては「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」とクラウドサービスの効果について、好意的な回答をしています。
クラウドサービスの利用状況の推移
利用しているクラウドサービスの内容(複数回答)
クラウドサービスを利用する理由(複数回答)
クラウドサービスの効果(令和5年)
・経済産業省令和5年通信利用動向調査の結果(概要)
クラウド化がもたらす効率的な運用
クラウド化することで、企業はシステムの運用方法を大幅に改善することが可能です。
従来のオンプレミス環境では、サーバーの設置やメンテナンスに多大なコストと手間がかかっていましたが、クラウドではこれが解消されます。
また、インターネット接続さえあれば、どこでもシステムを利用できるため、遠隔地からのアクセスも容易になります。
この利便性は、従業員が多様な働き方をする中で、特に重要なポイントとなります。
業務運営のスピードを向上させ、トラブルシューティングや問題解決にかかる時間を短縮できるでしょう。
クラウド型基幹システムの主要なメリット
クラウド型基幹システムの導入は、多くの企業にとって業務運営の効率化を実現する重要な選択肢となっています。
柔軟性の高いシステム設計により、企業は迅速な対応が可能となり、競争力を大きく向上させることができるでしょう。特に、運用コストの削減や利便性の向上といったメリットが多くの企業から支持されています。ここでは、クラウド型基幹システムがもたらす様々なメリットについて、それぞれ具体的に見ていきます。
サーバーいらずで管理・運用コストを抑えられる
クラウド型基幹システムの最大のメリットの一つは、物理的なサーバーの設置が不要になる点です。
従来のオンプレミス環境では、サーバーの購入・設置・メンテナンスに多くの時間と費用がかかりました。
しかし、クラウドを導入することで、これらの負担が軽減されます。企業はインターネットを介してサービスを利用するため、サーバーが不要になるだけでなく、管理作業も大幅に削減されます。
これにより、本来の業務に集中できる環境が整い、さらなるコスト削減が期待されます。
テレワークの実現につながる
クラウド型基幹システムは、テレワークの普及に非常に有効です。社員がどこにいてもインターネット環境さえあれば、必要な業務にアクセスできます。
これは特に在宅勤務や外出の多い営業職において重要な要素です。
クラウド型システムの利点は、社内外での協力や情報共有をスムーズに行えることにあります。
このような働き方は、企業の生産性を高め、従業員がより柔軟に業務に取り組むことを可能にします。
システムプログラムが自動更新される
クラウド型基幹システムのもう一つの特徴は、システムプログラムが自動的に更新される点です。
企業が従来のオンプレミスシステムを利用していた場合、プログラムの更新作業が業務に支障をきたすことがありました。
しかし、クラウドでは新機能やセキュリティパッチが自動的に適用されるため、常に最新の環境で作業が行えます。
この仕組みは、運用管理の手間を減らし、企業のリソースをより効果的に活用することにつながります。
データの自動バックアップでBCP対策につながる
クラウド型基幹システムは、データの自動バックアップ機能を持つことが一般的です。
企業にとって、データの保護は事業継続計画(BCP)の観点から極めて重要です。
クラウドを利用することで、災害やシステム障害が発生した際にも迅速にデータが復元できる環境が整います。
これにより、企業は安心して業務を運営でき、突発的なトラブルにも強い体制を築くことができます。
セキュリティ対策の簡素化につながる
クラウド型基幹システムの導入により、セキュリティ対策が簡素化される点も大きな利点です。
クラウドプロバイダーは最新のセキュリティ技術を提供し、定期的なアップデートを行います。
このため、企業は自社のサーバーを持たずとも高いレベルのセキュリティを享受することが可能です。
サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが高まる現代において、こうした強固なセキュリティ体制は非常に重要です。
企業はこの環境を利用することで、安心して業務を進めることができるでしょう。
クラウド化におけるリスクとデメリット
クラウド化には数多くの利点がある一方で、リスクやデメリットも存在します。
多くの企業がクラウド型システムへの移行を進める中で、注意が必要な要素が幾つかあります。特に、業務運営に直接影響を及ぼすリスクはしっかりと理解し、対策を講じる重要性が高まっています。慎重な判断や計画がなければ、思わぬトラブルに見舞われる可能性もあるのです。このようなリスクやデメリットを把握しておくことが、成功的なクラウド化のカギとなります。
オフライン時に利用が制限される
クラウド化のデメリットの一つは、オフラインの状態ではシステムにアクセスできなくなる点です。
クラウド型の基幹システムは、インターネットを介して利用されるため、回線がダウンしたりネットワーク問題が発生したりすると、業務に支障が生じます。このような状況では、作業が中断されることが避けられず、スケジュールに影響を与えかねません。特に緊急のプランが必要な場合、オフライン時にデータにアクセスできないことが痛手となることは否定できません。
継続的にランニングコストがかかる
クラウド化に伴い、ランニングコストが継続的に発生することもデメリットの一つです。
クラウドサービスの利用料金は月額または年額で支払う形式が多く、長期的にはかなりの金額に達することがあります。また、追加のストレージが必要になったり、新たな機能をオンデマンドで追加したりする場合は、さらに費用がかさむ要因となります。これらのことから、予算の計画を立てることが不可欠であり、従来のオンプレミス型システムと比較して総コストを評価する必要があります。
カスタマイズが制限される
クラウド型システムでは、カスタマイズが制限されることがデメリットの一つです。
多くの場合、提供される機能に依存するため、特定の業務ニーズに完全に応じたシステム設計が難しくなります。特に、業界特有の要件に対して、十分な融通が効かないことがあります。このような場合、企業は自社に特化した機能を求めて高いカスタマイズを希望することになるため、選択肢が限られ、最終的には期待通りのサービスを受けられない可能性があります。
クラウド化における業務メリット
クラウド化によって、企業は業務運営における多くのメリットを享受することができます。
特に、業務の効率化や生産性の向上に寄与する要因が多数存在します。クラウド型の基幹システムを導入することで、日常的な業務フローやデータ管理が大幅に改善され、企業全体の運営が効率的になる傾向があります。
これにより、企業は競争力を強化し、成長を加速することが期待されます。
業務の自動化により日々の業務効率が上がる
クラウド化には、業務の自動化が進むという大きな利点があります。
定型的な業務や反復作業を自動化することで、従業員はより重要な業務に集中できる環境が整います。
例えば、データの入力や分析、レポート作成などの繰り返し行う作業が自動化されれば、人的エラーも減少し、時間を大幅に節約できます。
この結果、業務効率は飛躍的に向上し、企業全体の生産性が高まります。
データ共有が効率化される
クラウド型の基幹システムを利用すると、データの共有がスムーズに行えます。
リアルタイムでデータにアクセスできるため、異なる部署やチーム間でのコミュニケーションが促進されます。
このような環境において、情報の透明性が高まり、意思決定のスピードも向上するでしょう。
また、従業員が必要な情報を迅速に取得できることで、業務の進行がスムーズになり、結果的にはパフォーマンスの向上につながります。
制度改定への柔軟に対応し、業務生産性を維持・向上できる
クラウド型システムの導入によって、迅速な制度改定への対応が可能になります。
法制度や業界規制は常に変化しており、それに伴い業務プロセスも適応が求められます。クラウドシステムでは、必要なプログラムの更新や変更が自動で行われ、このため業務が止まることなく継続できます。
こうした機動性は、企業が市場環境に迅速に対応し、業務生産性を維持・向上させるための大きな要因となります。
オンプレミスとクラウドの比較
オンプレミスとクラウドの基幹システムには、それぞれ異なる特徴が存在します。
オンプレミスは、企業の内部にサーバーを設置し、すべてのデータとアプリケーションを自社で管理・運用する形態です。
この方法には、データセキュリティやカスタマイズ性の面での利点もありますが、一方で高額な初期投資や長期的なメンテナンスコストが発生することが一般的です。
そのため、企業ごとのニーズに応じて、どちらのシステムを選択するかを慎重に検討する必要があります。
オンプレミスの特徴とデメリット
オンプレミスの最大の特徴は、完全なデータコントロールを実現できる点です。企業は自社のネットワークおよびセキュリティ体制に基づいてシステムを運用できます。また、特定の業務ニーズに応じたカスタマイズが可能で、必要に応じてアプリケーションやインフラを調整できます。それに対し、デメリットも明確です。初期投資が高額で、サーバー購入や設置に伴う多くのコストが必要です。さらに、定期的なメンテナンスや更新作業にも人員とリソースを割く必要があり、これが業務運営に影響を与えることがあります。
加えて、技術の進歩に追随するのが難しい点も問題視されます。古いシステムを更新する際には、多大な時間と労力を要し、新しい技術を簡単に取り入れにくいという面もあるため、時代遅れのカルチャーが根付くリスクも存在します。このように、オンプレミスは多くのメリットを持ちながらも、運用面やコスト面において慎重な判断が必要なモデルとなります。
クラウド移行の手順を知る
クラウド移行は、企業のIT環境を改善するための重要なステップです。
移行プロセスは複数の段階に分かれ、それぞれのステップを順序良く進めることで、スムーズなシステム運用が可能になります。
適切な計画と実行が求められるため、自社の実情やビジョンに合わせた適切な手順を理解することが不可欠です。
これにより、将来的な運用が安定し、期待される効果を最大化することができるでしょう。
1. 導入目的の明確化
クラウド移行において最初のステップは、導入目的を明確にすることです。
企業がなぜクラウド化を目指しているのか、一から十までのビジョンをしっかりと定義することが求められます。効率的な運用やコスト削減、柔軟な働き方の実現など、目的は多岐にわたります。具体的な目標を設定することで、プロジェクト全体の進行方向が定まり、関係者の理解と協力が得やすくなります。この段階での詳細な計画が、後々の成功に直結します。
2. プロジェクトメンバーの選定
プロジェクトの実行には、適切なメンバーの選定が重要です。
クラウド移行を担うチームには、IT部門だけでなく、各業務部門の担当者を含めることが望ましいです。
さまざまな視点からの意見や知識が集まることで、移行後のシステムがより実用的で効率的なものになります。
経験豊富なメンバーや専門知識を持つ人材を選ぶことで、プロジェクトの進行がスムーズになり、問題発生時の対処も容易になるでしょう。
3. 現行業務の棚卸
クラウド移行の次のステップとして、現行業務の棚卸を行います。
このプロセスでは、現在の業務フローやデータの流れを詳細に把握することが求められます。
業務がどのように行われているかを明確にすることで、クラウドに移行する際に必要な機能やサービスが特定でき、さまざまな課題も浮き彫りになります。
さらに、現行のシステムで抱えている問題点を洗い出し、次の新業務フローに役立てることが重要です。
4. 新業務フローの構築
現行業務の棚卸が完了したら、新しい業務フローの構築に取り掛かります。
この段階では、クラウド移行に伴いどのようなプロセスが必要になるのかを考え、改良案を実施することが求められます。
クラウドの特性を活かし、業務の効率化を図るためのフローを設計することが重要です。
業務の自動化やデータ共有の促進など、これまでのプロセスを見直しながら、より良いシステムを構築することで、業務効率が向上します。
5. システム運用の開始
新業務フローが構築されたら、いよいよシステム運用の開始です。
クラウド移行後は、現行業務フローとの整合性を保ちながら、実際の運用を行う段階になります。
初期段階では、トラブルシューティングやユーザーサポートが特に重要です。必要に応じて調整を重ね、運用を円滑に進行させることが大切です。
また、システム運用後の評価も欠かせません。問題点を改善し、継続的な制度変更に対応できる体制を整えることで、企業全体の活動がより効率的になります。
2025年を目前に、 基幹系システムのクラウド移行が加速
新型コロナウイルスのパンデミックや激甚化する自然災害、気候変動など、様々な要因によって先を見通すことが難しくなっているVUCAの時代における変化に対応するためには、DXの推進とクラウド移行が企業にとって重要な課題となっています。
既存の常識が通用しない時代において、DXを推進しビジネスを変革しなければ、企業が競争力を維持・向上させることは困難です。そのためには、既存のレガシーシステムから脱却することが不可欠です。デジタル人材の不足が進む中で、運用に手間やコストのかかるインフラを自社で保有し続けることは、ビジネススピードを低下させる要因となり得ます。そのため、「2025年の崖」を乗り越えるための取り組みが各社で進められています。
このような状況を背景に、クラウドへの移行が一層進んでいます。すでにクラウドが一般的なSaaS型の情報システムに加え、近年では業務の中核を支える基幹系システムのクラウド移行にも注目が集まっています。これを機にクラウド化を検討してはいかがでしょうか。
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